先日、日本口腔育成学会主催の『世界で一番聞きたい保健指導論~乳幼児編&口腔機能編~』という講演会で、少し講演をさせていただきましたので、今日はそのお話をさせていただきます。 この日の講演のメインは、岡崎好秀先生。 岡山県で小児歯科医として働かれており、子供の歯科治療や食育に関しては第一人者として知られる著名な先生です。 その一方で、モンゴル健康科学大学の客員教授もされており、年に何度もモンゴルに足を運ばれています。 また岡崎先生は、歯や噛むことの重要性について日本全国を講演して回っておられ、とにかくお忙しい先生なんです。 診療は、主として障害を持つ子どもたちを中心に行っており、診療終了後は、"子どもの心に貯金をして帰す“というのが先生のモットーだとか。 今回、そんな岡崎先生の講演会の前座として、この私がオファーをいただいたのです。私にとってこんな名誉なことはありません。 このミッションを全力で努めさせていただきました(^O^) 私がお話させていただいたのはほんの20分程度でございましたが、ただいま私が代表を務めさせていただいている横浜歯科臨床座談会が掲げつづけている 『3歳まで甘いものを与えないと、虫歯になりにくい』 という、数十年にわたる臨床実感について、みなさんの前で話してまいりました。 今から40数年前に、丸森賢二先生が掲げた『子供には3歳になるまで甘いものを与えない』という考え方。 3歳まで甘いものを与えないと、乳歯が虫歯になるリスクが少なくなるのは当然ですが、実はこれにはもうひとつ、もっと大きな理由があるのです。 味覚の形成にとってとても大切な3歳までの期間に、先に甘味を覚えさせてしまうと、子供は本能的にその味だけを求めるようになり、それ以外の味覚(塩味、苦味、酸味、辛味、うま味)が育たないのです。 その結果、好き嫌いのはげしい、虫歯だらけの子供が出来上がるのです。 「子どもが泣くから」「甘いもの与えておけばとりあえず静かになってくれるから」、それだけの理由でホイホイ甘いものを与え続けていくと、子供の思うツボ。 甘いものは乳幼児にとっては「麻薬」と同じようなものです。 自制が効かない時期に一番オイシイ味を覚えさせてしまったら、のちのち取り返しのつかないことになってしまいます。 実はこの私も、父(名誉院長)と母から、「3歳まで甘いものナシ」で育てられました。 そして私は今年で46歳になりますが、いまだに虫歯ゼロ。好き嫌いも全くナシです! 甘いものはキライじゃありませんが、いただいたものをちょこっと食べる程度で、自分のお金で甘い食べ物や飲み物を買おうとは決して思いません。 明日、この世から甘いものが全てなくなったとしても、私の生活は何ひとつ変わることはありません。 そして今、私の2人の子供(長男4歳、長女2歳)も「3歳まで甘いものナシ」で育てています。長男は3歳を越えて、今では特別な時だけ甘いものを与えていますが、長女はまだ3歳になっていないので、いままさに「甘いものナシ」で奮闘中。 お兄ちゃんが食べてるのを羨ましそうに見ていますが、「3さいになったらたべようね」というと、ちゃんと理解してくれます。 むかし私が親にしてもらったことを、いま私が子供にしてやっています。 他にも甘いものだけでなく、好き嫌いなく何でもおいしく食べる子に育てるために私たち夫婦がやっているさまざまな子育て奮闘記なるものを、この岡崎先生のご講演の前座をしてお話させていただきました。 このお話、さらに内容の濃いものとして、今度は11月2日と3日に開催される「むし歯予防研究会 500回記念例会」でもお話させていただく予定でおります。 |